【 ホンダよ、 】幻のEVカーとなるのか 【 カーニュース 】

頑張れ、HONDA
EVシフトは、これまで「既定路線」として語られてきた。しかしここにきて、その流れに明確な変化が見え始めている。2025年12月期や2026年3月期の決算では、多くの自動車メーカーがEV関連で巨額の損失を計上した。
代表的なのは、ホンダが最大2.5兆円、ステランティスが約4兆円、ゼネラルモーターズが約1.1兆円、フォードが約3兆円といった規模だ。数字だけ見れば衝撃的だが、これらは主にEV投資の一部を回収不能として会計上損失処理したものであり、直ちに経営が揺らぐという性質のものではない。
ではなぜ、ここまで急速に進められてきたEVシフトは、足元で減速しているのか。その理由は大きく2つに集約できる。
ひとつは、需要の問題だ。EVはエネルギー効率に優れ、走行性能も高い。しかし実際のユーザー視点では、充電という手間や航続距離への不安、用途の制限といった現実的なハードルが存在する。その結果、「優れていることは理解しているが、積極的に欲しいとは思わない」という層が想定以上に多かった。近距離移動や日常使いにおいてはEVのメリットは大きいものの、あえて従来の内燃機関車から乗り換える動機としては弱いのが現状だ。この傾向は日本に限らず、世界的にも共通している。
もうひとつは、産業構造の問題である。EVの中核を担う車載用バッテリーは、現在中国が圧倒的なシェアを握っている。結果として、EV化を進めることは中国製バッテリーへの依存を強めることとほぼ同義になっている。特に欧州メーカーは、EVシフトによって主導権を握る狙いがあったが、実際には中国の存在感を高める結果となった。この構図では、メーカー側の投資意欲や各国の補助金政策にも影響が出るのは避けられない。
こうした背景を踏まえると、現在のEV減速は「失敗」というよりも、過度な期待から現実への調整局面と捉えるべきだろう。長期的に見れば電動化の流れ自体は不可逆であり、最終的にEVが主流となる可能性は高い。しかしその普及は、当初想定されていたほど急激には進まないという現実が明らかになりつつある。
象徴的なのが、ホンダの巨額損失だ。EVに積極投資してきたメーカーほど、一度立ち止まり戦略の見直しを迫られている。今はまさに、理想と現実のギャップが浮き彫りになった過渡期と言える。
EVは間違いなく未来の技術である。しかし、「今すぐ誰もが欲しがる商品か」と問われれば、答えはまだ明確ではない。この温度差こそが、現在の市場の減速を生み出している本質なのである。


